帝塚山学院

◆石川 啓 理事長 インタビュー (2012.6.18)

 

2012年 6月18日

大阪市住吉区にある 帝塚山学院 石川 啓 理事長先生にお話を伺って参りましたので、ご報告いたします。

 

 

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        石川 啓 理事長


「帝塚山学院は、自由で進取の精神に富んだ私立学校をつくって理想の教育をすすめたいと考えた教育者の熱意と、それに共鳴する地域の篤志家たちの支援とに よって誕生した学院です。大正6年、大阪市住吉区に帝塚山学院小学部が開校しましてから、2016年には創立100周年を迎えるのですが、現在では幼稚園、小学校、二つの中 学校、高等学校および大学・大学院を擁する、わが国でも有数の総合学園になりました。

帝塚山学院が私立学校として守るべき第一のものは建学の精神です。第二は、この学校が実行してきた教育理念です。第三は伝統です。


帝塚山学院は、大正6年(1917)の小学校設立の折、のちの初代学院長となる主事(校長)の庄野貞一が、その設立趣意書において提唱した「力の教育」を建学の精神としています。
設立趣意書には、「力の教育」について、

「力の教育!力とは何か。意志の力、情の力、知の力、躯幹の力
―― 広い意味の力の漲った強い人物、これこそ吾々が学院の中で鍛え上げねばならぬ人物なのです。」
とあります。

「力 の教育」とは、身体的なパワーとか、知性的に力があるという風に誤解されるかもしれませんが、決してそうではなく、昔から言われている「知・情・意」に加 えて「体」に力がみなぎった「力の人」を創ることを指しているのです。そして、現代社会における「力の人」とは、「グローバル社会を生き抜く力を持つ人」 でしょうね。

設立当初の本学院「教育概覧」には、この建学の精神を具現化するものとして、「知 育」、「徳育」、「体育」、「聖育」と並んで、「美育」も挙げています。「美育」とは、絵画や表現教科による「美の創造」と、音楽会や展覧会等による「美 の鑑賞」を通して、「美の探求」をも目指すものです。これは当時、非常に珍しかったのではないでしょうか。知を開き、情を磨いて、そして強い意志を持ち、 体も鍛えて、さらに美的なセンスも磨いて、というのが「力の教育」の意味するところですから、現代的な意味での「全人教育」が建学の精神だともいえるで しょう。帝塚山学院は大正の初めにすでに「全人教育」を目指している学校なのです。

また、「設立趣意書」には、教育理念として「自学主義」教育がうたわれています。「自学主義」とは、生徒の求知心を育む「探求型」教育のことです。 大正時代に「自学主義」を唱える学校は無かったのではないでしょうか。建学の精神としての全人教育と教育理念としての探求型「自学主義」教育は、戦前戦後 を通じて実践され、本学院の伝統となっています。

先ほども申し上げた、建学の精神の「力の教育」は、現在においては「グ ローバル社会を生き抜く力」であると思いますが、その力を育むためには自発的に学ぶ「自学学習」とともに、教科学習以外にも興味を持ち、そのものを深く探 求していくことにより、このグローバル社会を生き抜く「全人格的な力」を身につけることが良いと思います。帝塚山学院は、それができる学校にしたいです ね。

グローバル社会においては、日本人だけで生きているわけではありませんから、世界の人々とコ ミュニケーションしなければいけません。そのためには英語が必要になってきます。勿論、当然「日本語」が使いこなせることが前提です。まず、アイデンティ ティーが確立されていなければ、人として生きていけませんからね。「帝塚山学院土曜スクール」では、受験英語を教えているのではありません。受験に役立つ 英語学習ではなく、目で見たことを話ことができ、耳で聞いたことに返事ができるように指導しています。」


以上です。石川 啓 理事長先生、ありがとうございました。

 

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「2009年4月、帝塚山学院大学は西日本初のリベラルアーツ学部を開設しました。これは従来の文学部の内容を尊重しつつ、総合的教養力を高めるこ とを教育の目的として、人文系の分野(Arts)を中心に自由に学ぶ学部です。 また、人間文化学部は人間科学部に名称を変更、文化学科が情報メディア学科、人間学科が心理学科になりました。
この2学科に既存の食物栄養学科を含めて、人間科学部はリベラルアーツアンドサイエンス(Liberal Arts and Sciences=人文科学と自然科学を横断する総合的教養教育)のサイエンスの領域を受け持ちます。このような個性豊かな両学部がそろうことによって、 建学の精神である全人教育の理念を現代に生かすことが可能となりました。」  

~学校法人 帝塚山学院ホームページから~
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